ありの行列

 光村 3年上

 古くからある教材である。


 「ありは、ものがよく見えません。それなのに、なぜ、ありの行列ができるのでしょうか。」
 これがこの説明文の問いである。もっと短く書くと、「なぜ、ありの行列ができるの」かということである。


 蟻が行列を作ってえさを巣まで運んでいる。それは、

等のためである。これらの点は不問のままである。


 読んでみると、いくつか気になる点があった。

 このような点が気になった。


 ウィルソンが行った実験については

 人間の目には見えないが、何か「物」があるはずだと考えること、これが科学の出発点。
 それを確認するために第2の実験を行った。

 やってみると確かにその通りになり、蟻の行列は混乱する。石でその「物」が消されたのである。蟻にとっても無くなった。それで行列は混乱したのである。
 しかし、しばらく(試行錯誤)すると、石で消えた「道」の続きを偶然見つけ、無事餌までたどり着ける。他の蟻も同じ方法で見つける。
 餌を再発見した蟻は、最初の蟻と同じで、餌を探しているときに出すにおいを(石の近くだけ?全行程?)たどって巣に戻る。その時、石で消されたにおいを補充するように、また「見つけた」においを地面に付けて帰るのである。これで他の多くの蟻が餌にたどり着けるようになる。

石の近くだけ?:帰り道も「見つけた」においをたどるが石の近くだけ消されているので、そこだけ「探している」においをたどる。
全行程?   :「見つけた」においは全く無視。「探している」においだけを頼りに巣まで帰る。


 全体は、9つの形式段落で構成されている。

  1. なぜ、ありの行列ができるのでしょうか。
  2. (ウィルソン)は、次のような実験をして、ありの様子をかんさつしました。
  3. 実験1:はじめに、ありの巣から少しはなれた所に、ひとつまみのさとうをおきました。
  4. 実験2:次に、この道すじに大きな石をおいて、ありの行く手をさえぎってみました。
  5. これらのかんさつから ……… と考えました。
  6. 研究1:そこで、ウィルソンは、はたらきありの体のしくみを、細かに研究してみました。
  7. この研究から、ウィルソンは、ありの行列のできるわけを知ることができました。
  8. ……えさを見つけると、道しるべとして、………
  9. 結論:においをたどって

 全体をウィルソンがしたことで区切ると、6つになる。

番号 形式段落 何を どうした 意味 大くくり
1 (1) (2) (ありの)様子 かんさつ 問題 問題
2 (3) さとう おき 観察1 観察
3 (4) 行く手 さえぎって 観察2
4 (5) 道しるべ 考え 問題への第1の考察
5 (6) 体のしくみ 研究 研究1 研究
6 (7) (8) (9) わけを 知る 問題への答え 答え

 それを更に大きくくくると、上表の右のように4つとなる。

  1. 問題提示
    なぜ、蟻の行列ができるのか
  2. 実験・観察と結果
    道しるべを残すらしい
  3. 研究
    おしりから、とくべつのえきを出す
  4. 答え
    特別の液と、蟻の行列ができる説明

 ということで、この説明文を読んでいく上で読み落とせないところが、第1段落の「ありは、ものがよく見えません。」という文である。さらっと書かれているが、この点がずっと伏線となってこの説明文の論が進むのである。指導する際に、十分注意したい。


指導案を作るために(中心を中心にして流れを作る)

中心

 「ありは、ものがよく見えません。それなのに、なぜ、ありの行列ができるのでしょうか。」
 これがこの説明文の問いである。もっと短く書くと、「なぜ、ありの行列ができるの」かということである。
 しかし、これがこの説明文の中心ではないように感じる。というのは、「なぜ、ありの行列ができるのか」の問いには、他に考えなければならない点がたくさんあるからである。ものがよく見えないということ、巣を作る昆虫のこと、リーダーがいるかどうかということ、そしてコミュニケーションをとっているかどうかということ。

 そこで、中心をもっと大雑把に考えて、「ありの行列」としてとらえる。みんなが餌までたどり着けるということ、餌を巣まで運べるということ。なんでやろね、というのが中心。

中心を中心として流れを作る

区画

 上の表のように、形式段落を元に、6区画する。

第一次指導の手引き

 ウィルソンがしたこと

第一次指導の「四、かく」

 上記表参照

第二次指導の「四、かく」

第三次指導の「四、かく」


 第一次指導 全文の概観

一、よむ ・蟻は見たかな?
 5月の教材で、まだ蟻が動き出さない地方もある?
・蟻の行列を見たことがあるかな?
○昨日、お家で読んでみた人。
・順番読み。6人。
・大きな声で、ゆっくりと
12分
二、とく ○題目「ありの行列」
 蟻の行列を見たことがあるかな?
 蟻は行列を作って、何をしていた?
 蟻は、ものがよく見えないそうです。
◎ひびき
 なぜ、蟻の行列ができるのでしょうね。
 何か人には見えない「物」があると思って、調べた人がいるよ。
 実験もしたし、研究もした。
○手引き
 ウィルソンがしたことを、探して書いてください。
 新出漢字「列」の筆順指導。
三、よむ ・黙読 15分
四、かく (1) かんさつ
(2) おき
(3) さえぎって
(4) 考え
(5) 研究
(6) 知る
五、よむ ・指黙読1回。指斉読2回。
六、とく ○事実・区分
 ウィルソンが実験したことは? (2) 〜 (4) をくくる。
    巣の近くに餌を置いた。
    石で行列を乱した。
 蟻の体の仕組みを研究したのね。 (5) をくくる。
 それでわかった。           (7) をくくる。(1) をくくる。……で、全体を4区分。
◎山
 何か「物」があって、その「物」を無くしたら、行列がばらばらになると思ってしたことは?
 確かに思った通りになったのね。
 実験はうまくいったんだが、ウィルソンはそれだけで済まさなかったよ。何をした?
    研究
○余韻
 で、何故蟻の行列ができるのか、分かったんだね。
七、よむ ・指斉読1回。

 第二次指導 第1時

一、よむ ・ウィルソンというアメリカの学者さんが、なぜ蟻の行列ができるのか調べたお話。
○昨日、お家で読んでみた人。
・順番読み。6人。
12分
二、とく ○おさらい
 蟻の行列は、蟻が何かの印を地面に残しているに違いないと思って実験した人がいるでしょ。誰?
◎承接
 でも初めから、それが分かっていたんじゃない。いつ気づいたかな?
○手引き
 最初の実験を視写しましょう。
 新出漢字「次」の筆順指導。次々の「々」も併せて簡単に指導。
 4年配当の漢字「巣」の筆順指導。
三、よむ ・黙読 15分
四、かく すると、巣の中から、
たくさんのはたらき
ありが、次々と出て
きました。そして、
列を作って、さとうの
所まで行きました。
ふしぎなことに、その
行列は、はじめの
ありが巣に帰るときに
通った道すじから、
外れていないのです。
五、よむ ・指黙読1回。指斉読2回。
六、とく ○語義・区分
 語義:次々と…………さあ、急げっていう感じだね。
    列を作って……行列ができたのね。
    ふしぎ…………誰が不思議と思った?
    道すじ
 3つの文を2区分する。前2文と後ろ1文。
◎心
 よく観察していると気づいたことがあるでしょう。
    帰るときに通った道すじ
    外れていない
○余韻
 初めの蟻が、巣に帰るときに、何かの印を地面に付けたに違いないと思ったのね。
 明日はそれを確かめる実験のところを勉強します。
七、よむ ・指斉読1回。

 第二次指導 第2時

一、よむ ・ウィルソンは、蟻が餌を見つけて巣に帰るとき、地面に目に見えない何か印を付けているに違いないと思ったのね。それを調べるにはどうしたらいいだろう。
 ウィルソンもそれをよく考えただろうね。
○昨日、お家で読んでみた人。
・順番読み。6人。
12分
二、とく ○おさらい
 さとうを見つけた蟻が、地面に何かしるしを残したに違いないと気づいたのは、巣から出てきた大勢の働き蟻たちが、どうしたから?
◎承接
 目に見えない印があるかどうかを調べるには、印を消せば良いんだが、ウィルソンは何を使って印を消した?
○手引き
三、よむ ・黙読 15分
四、かく すると、ありの行列は、
石の所でみだれて、ちり
ぢりになってしまいました。

ようやく、一ぴきのありが、
石の向こうがわに道の
つづきを見つけました。
そして、さとうに向かって
すすんでいきました。

そのうちに、ほかのあり
たちも、一ぴき二ひきと
道を見つけて歩きだし
ました。
五、よむ ・指黙読1回。指斉読2回。
六、とく ○語義・区分
 4文を、ある一匹の蟻のこと、大勢の蟻のことで、2区分する。
◎心
 何か印を付けているに違いないと、実験を始めましたが、やったぁ、と思ったところは?
 でも少しは自信がありませんでした。それがまず間違いないと、安心したところは?
○余韻
 ウィルソンは、蟻の体から何か、印になる物を地面に残しているに違いないと、蟻の体の仕組みを研究したのね。そうするとおしりの所から、蒸発しやすいにおいのあるえきを出していることがわった。蒸発しやすいので、おしりから出るとすぐに見えなくなるのね。見えなくなるけど、地面に何は残るの?
 それを、巣から出てきた蟻がたどるのね。
 次の時間は、ウィルソンの実験・研究でわかったことをまとめる書いているところを勉強します。
七、よむ ・指斉読1回。

 第二次指導 第3時

一、よむ ・ウィルソンの2つの実験と蟻のことがだんだんわかってきたのね。
○昨日、お家で読んでみた人。
・順番読み。6人。
12分
二、とく ○おさらい
 ウィルソンの2番目の実験で、蟻が餌を持って帰るときに地面に何か印を付けていることが分かったでしょ。何を使って分かった?何を使って蟻の印を消した?
    石
◎承接
 次は、地面にどうやって印を付けているか、研究したのね。そうすると、
    おしりのところから、とくべつのえきを出す
 その液がしるしだったわけね。
○手引き
 ウィルソンの実験・研究から分かったことを、まとめて書いてくれているところがあります。
三、よむ ・黙読 15分
四、かく ほかのはたらきありたちは、
そのにおいをかいで、におい
にそって歩いていきます。
そして、そのはたらきあり
たちも、えさをもって帰る
ときに、同じように、えきを
地面につけながら歩くのです。
そのため、えさが多いほど、
においが強くなります。
五、よむ ・指黙読1回。指斉読2回。
六、とく ○語義・区分
 語義:そって……沿って
 3文を2区分:前2文、後ろ1文。
◎心
 巣から出てきた、働き蟻たちに、向こうには餌がいっぱいあるよ、あるいは少しだけだよということを、伝える仕組みが、蟻たちにはあるのね。言葉ではなくて、何かで分かるようになっている。何で分かるようになっている?
 何故?
 餌がなくなったよ、ということも伝えることができる。どうやって?
○余韻
 餌のあるところ、餌の多少、餌の有無までわかる仕組みが蟻にはあるのね。
七、よむ ・指斉読1回。

 第三次指導

一、よむ ○昨日、お家で読んでみた人。
・順番読み。6人。
12分
二、とく ○おさらい
◎承接
○手引き
三、よむ ・黙読 15分
四、かく (1) 行列
  庭
  学者
  次
  様子
(3) 行く手
  目的地

文章
五、よむ ・指黙読1回。指斉読2回。
六、とく ○語義・区分
◎心
○余韻
七、よむ ・指斉読1回。